歯が痛い。厳密には左奥歯の歯茎。
歯痛はワシのささやかな欲という欲を奪う。
ぐっすり眠れない、噛めないから食い物がおいしくない。
風呂は入れないし、もちろん風呂上がりのビールもダメ。
仕事も集中できないし、本も読めやしない。
あ”〜、痛いよ〜。
ガォーー、吠えても気休めにもならん!
そういや痛みなど物ともしないあの柔術家のヒクソン・グレイシーが唯一痛いのが歯痛と言っていた。
まあそのぐらい痛いってことっす。
まったく!
朝起きると、冬で陽を浴びてないせいか弱気が出る。気分がよくないので、さっさと窓を開け、冷えた空気を家の中に入れ、植物に水をあげ、アトリエを掃除し、描きかけの絵に一筆入れる。これで気が紛れ、少しは弱気が消えるのだが、これでも完璧ではない。歳でも取ったのだろうか。
百も二百も全てまとめて一気に頭の上のもっともっと上を突き破ったような作品ができた。