●自由意識拡張で思い出すのが若い頃の旅だ。引き籠り系だった21歳の僕が新たな自分を垣間見るために解放系に挑戦しヨーロッパ二ヶ月弱のひとり旅。そこでは電車の網棚に寝た。25歳、インドは三ヶ月友人と二人旅。そこでは夜行列車でのっぴきならぬ問題が起きて他人の座席の下に寝た。電車の中には座席以外に意外にも上にも下にも寝むれる空間があったわけだ。これが自由だなんて吠えないが、その年代の僕の意識は自由という広大な空気に包まれていたように思う。自ら由と思うならあらゆるところが僕の寝場所で居場所になったからだ。今の僕の意識は窮屈な政治経済が主流なのか予定調和に座席を予約する。自由度減退だね。そんな貧弱な今の僕の意識にとって今描いている絵はかなり需要だとしみじみ思う。癒しや可愛いに傾きすぎた己を是正するプラスマイナスゼロの美しい軌道、これが新たな旅なのだ。
2017年11月29日水曜日
[6181] 南方熊楠
●自由度とは、例えば自分の喜べる許容範囲が空間的に一辺1メートルの1立方メートルだとする。その外は喜べない。作品ならこの中に入るものが良い作品だ。ところが人は飽きやすいので狭苦しいところに飽きて自己拡張しようとする。これが自由度拡張だ。旅で言えば行けないところに行けたから嬉しいみたいな。絵で言えば真剣に数点製作していたらできなかったことができたから嬉しいみたいな。これを数値的にこれまでより1メートルぐらい前に進んだとする。たった1メートル、でもこれまでの2倍だ。それだけだが空間的には8立方メートル、つまり8倍になる。そんな大きく膨らんだ僕の意識に、この前まではスカ、なんとも思わない、決していいとは思わない、もしかしたら悪い作品、それが金鉱として写ったのだ。この絵のおかげで制作範囲も8倍広がることになる。いや喜びが快楽を超えて至福ぐらいになるから感覚的には8倍どころでなくなる。天まで届く勢いだ。最上川を泳いでいたらカルカッタについたようなもんだ。しかしこれは他所への侵略や略奪による拡張ではなく、観念的に壁や境界を無に帰すことにある。中庸や中間、プラスマイナスゼロ。なんとなくだが、南方熊楠の粘菌の研究が過った。僕は今、熊楠の部屋にいる。
2017年11月28日火曜日
2017年11月27日月曜日
[6179] スカ→金鉱
●何の気なしに名作っていうものはできるもんだ。
随分前になんとなくクロッキー帳に描いていたもの。忘れていたが、帳をふと捲ってみたら、おぉ! これは金鉱だ! 実にいい感動の名作が目に入ってきた。これを描いた時は全くのスカだった。しかしこのあと毎日絵を描いて深く探求していたので自分の自由度が上がったようだ。つまりいつの間にか絵に対する意識の許容範囲が広くなっていたのだ。深層意識が徐々に意識化したようなもんかな。それで脳がスカだった筈の絵を金鉱として享受できるようになったのだろう。うっ、努力の成果が出ているんだ(涙)。
金鉱は来年谷中個展で。
写真「こら犬、オレの足でカクカクするんじゃない!」
2017年11月26日日曜日
[6178] 血みどろ
●十年以上前のこと、親知らずを抜きに歯医者に行った。
簡単に抜いて、はいお終いと思っていたので、結構遠いところだけど運動がてら歩いてでかけた。もちろん帰りも歩きだ。いい汗かいたのは良かったのだが、血が止まらない。止まらないのが嫌なので、何度もうがいをした。いつまでも血が止まらない。寝るときも出っ放しだ。血の海で溺れるのではと思いながらも寝てしまった。朝、頬から耳、枕が真っ赤に染まっていた。血が固まらない体質なのか?
いやそうではなかった。抜いたところに煮こごりのような血ができる。これが口の中ではカサブタらしい。当時それを知らず、気になるものだから、うがいで取り除いていたのだ。
今回はもう歯医者さんの指導がよく、全く問題もなく、痛くもなく、ぐりとぐらは消えて無くなり、無事老人に一歩近づいた。
ガハハ、ツッタエ(ひゃっこい)ビールがうまい!
2017年11月25日土曜日
[6177] 生きづらさ
●人は誰もが自分の思い込んだ世界の中にいる。
その世界は風変わりだ。
そこから絶対離れることもなく
埋没して暮らしている。
それも全く一人で。
だから誰とも話は通じない
猫とだって通じない。
『生きづらさ』がある。
このような内面ではなく社会学的にそんな研究をしている旅の途中の二十代の大学院生がやってきた。いい感じの若者だ。僕の本『なぜ猫は幸せを招くのか?』を二冊手に入れて東京に帰った。生きやすいヒントでもある内容なのかもしれない。
ついでだから小説『自由自在堂』も勧めた。
2017年11月23日木曜日
2017年11月22日水曜日
[6174] 迷彩柄
●だいたい結婚式ってなんなんだ?
姪っ子の12月の結婚式なのだが、全く行く気がなかったのに、兄に頼まれ行く羽目に。まあ父親もいなくなったし兄とも仲良くせねばならない。たまには大勢の前に顔を出すかと引き籠りをやめて行くことにした。結婚式など飲んで食って楽しけりゃいいんだろうと唯一気に入っている迷彩柄のパンツを履いていこうと思っていたら、SSに「新郎と戦うのですか?」と言われた。結婚式とは披露宴だけでなく何かの儀式があるらしいのだ。ワシ、結婚式などやったことも出たこともないから知るわけがない。では何を着るのだ? SSから用意された服がワイシャツにネクタイに三十年前に買ったブレザーに履き心地の悪いパンツ。ネクタイが黒でないだけでこの間の葬式とほぼ変わりないではないか。なんでわざわざ酒飲みに行くのに、堅苦しい不自由な拘束服など着なければならないのだ。首輪までして。オイラは奴隷か! なんか自己主張のない誰がどいつかわからんようなファッションだ。オレじゃねえ! 気に入らん。今朝方、目が覚め、やっぱり結婚式は行かないと決めた。時間が経ってから、ところで式場ってどんなとこと調べたら、結構豪華なとこ。美味そうな料理が脳裏を過った。
とりあえずうだうだクダ巻きながらも、SSと街にパンツを買いに行く。数年ぶりに街に出ての買い物。ワシは服を買うのが好きでない。あのいかがわしさが漂ってそうな試着室でパンツを脱ぐのが嫌いだ。だからと言って試着しないで買って、これまで何度無駄をしたことか。ところが試着しても失敗ばかりだった。この試着室に入るとさっさと出たくて、ついなんでもいいからこれでいいやとなってしまうのだ。
今日、思った通り密室では意味のない汗が頭頂から吹き出て帽子はビショビショ。あー、息苦しい。閉所恐怖症なのかもしれないな。ワイシャツにネクタイなどが嫌なのも締め付けられているとか型に嵌められているとかそういう感覚が苦しいのかもしれない。ワシは飛び出たいのだ! だから絵もどんどん変わるのだろう。自由が一番と思っているからな。さっさとパンツを試着した。
ん? おぉ! 迷彩パンツよりいい! 新しいし。
ははは、2着も買っちゃった!
SS、ありがとう! 美味いコーヒーでも飲むか?
とりあえず迷彩柄のブリーフも買った。
2017年11月21日火曜日
2017年11月20日月曜日
[6172] いい絵
午前、もうすぐ仕事関係の人が来る。
なんとなく絵が描きたくなった。
描く。
ところが紙の選択を間違えてしまった。
人が来るから少し焦ってたようだ。
これは失敗だなぁと思った。
とりあえず描き続けてみた。
人が来たが無視して仕上げた。
たなぼた。
すごいいい絵ができてしまった。
こういうものなんだよなぁと思った。
来年、谷中のギャラリー猫町で発表します。
(写真は雪の玄関。この角度の写真が好き)
2017年11月18日土曜日
2017年11月17日金曜日
2017年11月16日木曜日
[6168] 黒金魚
●数年前、池の金魚は越冬できず全滅した。それも生命力が強いワキンたちだった。池の構造が悪かったのもあったので工事し直したが、今いるオランダシシガシラはワキンに比べて軟弱な金魚。冬を越せるかどうか心配なので家の中に移動することにした。
大人の金魚6匹に、ここで生まれた稚魚が4匹。稚魚はまだ小さく元気そうなので大人だけ移動することにした。ところが黒1匹だけ捕まえられず、池の底に潜ってしまった。なんとか捕まえて救いたいのだが餌をやっても水面に上がってこない。黒は軟弱でビビリな性格をしている。色が黒いし水草がたくさんあるのでどこにいるやらわからない。お手上げだ。
赤金「クロ、おれたちは人間に捕まってしまった。お陀仏だ。お前だけでも助かれー」
黒金「寂しいけど、稚魚らと一緒に捕まらないように頑張って生きるよー」
などと話していると思うが、生き残るのは僕に守られた赤金たちで黒は池で越冬できない気がする。このことがずっと頭から離れず、数日間心配、気掛かり。
ところが今朝方、いいアイデアが浮かんだ。
『赤金2匹を池の中に戻して、黒に仲間が戻ってきたことを知らせる。赤金らに餌をやる。黒は赤金らがいることに気づき安心して水面に顔を出し餌を食う。そこを網で掬う』
早速、2匹を逃し餌をやった。すると久しぶりに見る黒い塊が恐る恐る水面に上がってきた。捕まえようとしたが、すぐに潜ってしまった。危険を感じたのだろう。なかなか顔を出さない。
とにかくじっと粘る。ワシの中の中学生は数時間でも集中できる。そこに宇宙を見ているのだ。
なんと! この作戦は見事に成功したのであった。銀河が見えた!
ガハハハ、これで一安心。
2017年11月15日水曜日
[6167] iPS細胞
●この村生まれの天才で奇人とか仙人とも言われ、未だに発展途上人で探究心旺盛なワシを取材したいと近所の中学二年生男女二人ずつが先生と一緒にやってきた。
みんな名前の刺繍の入った上下ブルーのジャージ、紺のスニーカー。中学生という生物は僕の話にどのような反応をするのか? 前に建築を学んでいる高校生が見学にきたが、高校生はトンチンカンだったから中学生に期待はしてなかった。ところが意外や意外、僕の作品、旧作から新作までちゃんと豊かに感じている。その辺りのおばちゃんは自分の好みが出来上がっていて可愛い猫にしか興味がないから話が膨らまない。中学生はいける! 未知なる好奇心がある生物だった。未分化、iPS細胞みたいなもんだ。面白い!
もしかして僕の頭が中学二年生程度なのかもしれない。いやそこではなく、自分は中学二年生の感性のまま成長してしまったのだろう。だからあんなふざけた作品が作れるんだ。なるほど納得。
どうせならこのまま中学二年生の好奇心でアートをますますやっていこうと思うのであった。
2017年11月14日火曜日
2017年11月13日月曜日
2017年11月12日日曜日
2017年11月11日土曜日
2017年11月8日水曜日
[6160] ワガジン8
『ワガジン8』の打ち合わせ。
50匹の猫の創世記ドラマ。
『サ゜スウォスス オブ キャッツ ワールド』
(「サ」に丸がついているのがイイでしょ)
これは古今東西の神話や伝説・伝承や
現代の科学的発見などに想を得て
創作した猫の世界。
初めて猫展をしたのが35歳で、
実はこれがデビュー作。
デビュー作にもう一つ『猫神様』という仏像猫もあるが、
それはどんどん一人歩きしていった。
来年の東京の谷中の個展で
この50匹の天才猫たちの本を出します。
2017年11月7日火曜日
2017年11月6日月曜日
2017年11月5日日曜日
2017年11月4日土曜日
[6156] ついてゆく
社会を分断するような観念や
主義主張にも捕らわれない
何者にも味方しない
この無垢な絵は
どこに行くのか
『宇宙の旅』A Space Odyssey
(ほだなエゴはいづれ海の彼方に消えてゆくもの)
僕はその絵の後ろから
ついてゆけばいい
この社会に築かれる強固な壁
『時計じかけのオレンジ』A Clockwork Orange
宇宙も己も見失わずに
『博士の異常な愛情』Dr. Strangelove
ついてゆけばいい
スタンリー・キューブリックの
何億年先の弥勒的創作姿勢