2018年1月6日土曜日

[6219] いけない行為

僕のペリペリ画法は紙に絵の具を塗ってペリペリと剥ぐ技法だ。この技法の原点は非常に子供じみたやっちゃいけない行為なのだ。
「またカサブタを剥がしている。血が出て痛いからやめなさい!」とお母さんは叱る。それでも僕は隠れてカサブタを剥がす。何故やめなければならないのかがわからない? 自分の体なのだから気をつけてやるし誰にも迷惑かけない。これは常識的な親に対する小さな反抗でもある。
 ところでカサブタ剥がしをやりたくても僕の体にいつもカサブタがあるわけではない。わざわざ転んでズリ剥けをするわけにもいかない。
 そこで紙という身体に皮膚という絵の具を塗りナイフで傷をつけカサブタを剥がす。下から新しい美しい皮膚が出てくる。剥がし過ぎれば血が出る。うまくいけば心地好い。これがペリペリ画法だ。カサブタを剥ぐのと同じ感覚なのだ。
 写真の絵はこの間の個展に出して他の人の手に渡ったものだ。もともとは表面が全部真っ赤なカサブタ、それをほとんど剥いて新しい皮膚とこのような傷が残った痕跡なのだ。この作品を手に入れた方は究極を狙うなかなか見る目があるヤツだと思った。

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