●いけない行為2
新しい技法や変わった技法はそこら中にある。しかしいけない行為からの技法は稀だ。
昔、ポロックという人が絵の具を撒き飛ばす絵を描いた。「なんてことすんの、部屋が汚れるでしょ、やめなさい!」とお母さんは叱ったと思う。デュシャンなどは会場に便器持ってきちゃった。もしかしたらゴミ捨て場にあった汚いものかもしれない。「なんてことすんの! まさか部屋でウンコするつもり? 捨ててきなさい!」とお母さんに叱られる。あんな紳士な顔してとってもいけない子だ。ダミアン・ハーストなどはとんでもない。「お父さんが大事にしてる熊の剥製を二つに切ったりして、なんて子なの!」とお母さんは激怒。いけないことは行為だけでなくモチーフにもある。奈良美智の子供がナイフを持っている絵。「こら、そんなもの持って遊んじゃいけません!」とお母さんはナイフを取り上げるだろう。
ところで僕のデビュー作の『猫神様』も、実は「なんて罰当たりな子なの! お寺の仏様に尻尾つけて! 住職さん怒ってたわよ」と仏教徒のお母さんが叱るいけない行為だったのだ。
まあこういういけない行為がアートとして昇華されると世間に浸透して、いつの間にか普通の行為になる。違和感があった常識の嘘がペリペリッと剥がされるわけだ。
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