●忘却
歯の隙間に食べ物が挟まる。
若い頃はこんなことはなく、
歯は丈夫すぎるくらい丈夫で、
飲み屋では割り箸をガシガシ噛んで
1センチ大に細かくして
皿に山盛りしていた。
しかしそんな過去も遠い昔で
まるで他人のことのよう。
もしかしたら夢かもしれない。
もしそんな過去が記憶として鮮明なら、
今のこの状態を嘆いたただろう。
でも最近は記憶も曖昧なので、
嘆くことはないから『幸せ』だ。
歯に隙間が出るように
脳にも隙間が出ているのだろう。
忘れることは空間ができて広くなる。
それはおおらかでいい。
もっともな忘却は忘我だ。
それは英語ではエクスタシーのことだから、
過度に忘れるのは芳しくないが、
物事にあまり拘らず
忘れることだと思う。
隙間を通って
『幸せ』がやってくる。
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