●浄化槽
朝8時に浄化槽の点検の人が来るという。浄化槽の蓋は1メートル以上の雪の下で、朝は凍っている。点検する人がやってきた。ワシより歳取った人だ。
ワシは家の植物の水やりを終えて、おじさんを眺めてみた。まだ掘っていた。難儀そうだ。これはワシの出番だ。ワシの家周りの雪掻きぐらいはやらねばならない。作業服に着替え長靴履いてスコップを持った。
「手伝いますよ」
「もう浄化槽の蓋が見えてますので、大丈夫です」とおじさんは笑顔で言う。
「いやいや、雪を捨てる道を作りますよ」
「大丈夫、あと少しですので」
「いやいや、僕の方が若い。どうか雪掻きさせてください」
涙ながらに訴えたが、断られた。
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