●月のウサギ
個展会場Room4にはウサギの被り物をして微睡んでいる猫がいる。何故微睡んでいるものを展示したのか、自分もよくわかっていなかった。今朝ふと、昔に読んだ手塚治虫の『ブッダ』の中のウサギの話を思い出した。
『老人に化けた神様がウサギとサルとキツネにお腹が空いているので助けてくれと頼んだ。サルは木の実をキツネは川の魚を捕まえて持ってきた。ウサギは何も獲れなかった。そこでウサギはサルに薪を頼みキツネに火を熾してもらい火の中に飛び込み老人にその身を捧げた。神様はウサギの行いに感動しウサギを元に戻し安心して休息できるように月の宮殿をあげた。今もウサギはそこにいる』
だからウサギは安心して微睡んでいる!
こんな自己犠牲なんてイヤだと感じる人が多いと思うが、手塚治虫は漫画で身を捧げ人々に感動を与えた。つまり手塚治虫はこのウサギなのだ。好きなことで自己表現するとは自己顕示や自己肯定だけでなく自己犠牲や自己否定が伴う。もちろん自己責任も含まれる。この部屋が『諸法無我』だ。




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