ワシの身体は回復したのに、亀吉がいない。
銀座の展示会に出品する作品の梱包。段ボールやプチプチなどを倉庫から出し入れするので、アトリエのドアを開けっぱなし。亀吉のことをすっかり忘れていた。隙を見て家から出て行ったようだ。あののろのろが意外と盲点で、前の家では庭をぐるっと網で囲って飼っていたので、よく眺めていた。それなのに見失ってしまうこと多々あった。人間の脳は集中力が無く、見ていても数秒ごとに意識が浮遊しているらしい。その意識の浮遊している時、うまいタイミングで亀吉は方向転換をしたりするのだ。だから亀吉が進む筈だと予想したところにはいない。(人間も亀と同じで予想通りいかないと思うね)
仕事していても思い出し気が沈む。ヤバイなー、雪が降ったら死んじゃうかも。
亀吉はこの家に住んでいて幸せだったのだろうか? 猫のように甘えることも無く、唯うろうろしてエサ食っているだけ、仲間もいない。暖かい生まれ故郷に帰してやった方が良いのかもしれないとしみじみ思った。
亀吉ーーー、明日探してやるからな!
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