●スタートライン
勝ち負けとは勝った方が強く負けた方が弱いというもの。つまり『勝・負』は『強・弱』で表せる。しかし強い者が勝ち誇ったりしない。弱いものがたまたま勝って誇るぐらい。みっともないものだ。弱い犬ほどよく吠える喩えは正解だ。負ければ心情的に悔しい。しかし心情に流されなければ勝ち負け以前の新鮮なスタートラインに立てる。だから負けるが勝ちが正しくもある。
私の負けた人生を振り返り、還暦の時に『還暦=生まれ直し』ということで、空き家を借りてアトリエにし、スタート地点に立って絵を探究した。おかげでペリペリ画法を発見した。ペリペリ画法は絵の具を重ねる行為ではなく剥ぐ行為だ。絵の具だけでなく、人は知識やお金や経験なんでも積み重ねることに時間を費やす。多ければ強い、勝ったという発想だ。しかしよくよくこれまでの人生を眺めてみればいくら積み重ねても何もならないからますます積み重ねている自分がいることに気づく。そしてコロナ禍の時、死が過り、積み重ねをやめて、またスタートラインに立った。そして『わ』の図を発見した。
さて勝つという事は追われることで前に行くしかない。前に押されているのだ。何に? 『後ろ』に押されているのだ。『後ろ』が主役なのだ。『後ろ』に引き摺られているのだ。どこまでいってもそれは本当の『前』ではない。
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