●説似一物即不中
一般的に作品の制作に区切りが付いたら制作年を入れる。私はほとんどの作品に制作年は入れない。作品が完成したようには感じないからだ。それを個展などで発表し、もし誰かの手に渡ったら、私の中ではその年がとりあえず制作年になる。誰の手にも渡らず戻ってきたら、保管し時々何かのきっかけで、ほとんどはそのままだが、手を加える作品がある。でも未完だ、誰かの手に渡るまでは。
人は完成品が好きだ。なぜなら人は未完だからだ。もっと奥には完成があるからその幻影を追うのだと思う。自分もまた幻影を追うためか完成しようと手を加え過ぎてしまう。
今から一年以上前にこれ以上手を加えないほうがいいと感じ、未完のままアトリエの壁にかけておいた絵がある。今回、未完のあの絵を発表したくなった。しかしその絵にはペリペリを施してない。自分のサインのようなペリペリをどのように施すべきか、と考えていて、、、そうかサインだ! そこでこの絵にペリペリサインを施した。すると気分は爽快。最後に目を入れる画竜点睛ではなく、白目と光をペリペリして完成となった。タイトルは『説似一物即不中』とした。
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