ひつじ「何してんの、おあずけよ」
人「『ええよ、ええよ、食ってメェ〜よ』って、昨日言ったじゃないか!」
ひつじ「ダメよ。ダメよ、食っちゃダメェ〜よ」
人「なに言ってんだ!」
ひつじ「上目線で、ぜんぜんひつじの命に感謝してないじゃないの?」
人「感謝してるって。大丈夫だから早く食わせろよ」
ひつじ「ダメよ。そういうのは感謝じゃない。理屈であって『間合い』じゃ無いんだな」
人「何だよ、間合いって?」
ひつじ「火に近づき過ぎたら火傷するでしょ。離れ過ぎたら寒いでしょ。その間合いよ。人間同士だって、国同士だって、人間と動物だって間合いが必要なのよ。その間合いが静寂の空間なのよ。わかる? 考えちゃダメェ〜。言葉は雑音だから言葉もおあずけよ。その間合いを、キョリを感じるのよ」
人「・・・・・」
ひつじ「ほら、あなたがひつじよ」