●旗と風
昨日の田口さんは20年以上前に私の個展に現れた。東大医学部を出て心臓内科医、今は六本木ミッドタウン内の病院の総合医長かなんか偉い方だ。面白い方で買った私の作品は自分で持たず人にあげてしまう。なぜ私の作品を好むのか聞いたら一言「sacred」と答えた。身も心も引き締まる言葉だ。
写真のこの絵も田口さんが買ってくれたもの。ペリペリ初期作品で名古屋の個展(2017年)に展示、画集の裏表紙にしたものだ。タイトル『旗と風』。
禅の公案に『非風非幡』というのがある。小説『自由自在堂』の中でも20ページ程の話にしている。要約すればこんな話だ。
『非風非幡』
幡が風に揺れているのを見た二人の僧が議論を始めた。
A僧「幡が揺れている」
B僧「風が揺れている」
二人は自分の意見をゆずらず、喧々諤々、もはや殴り合いになりそう。
そこに偉い禅僧が通りかかった。
「風が揺れているのではない。幡が揺れているのでもない。お前らの心が揺れているのだ」
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