2025年12月19日金曜日

[9019] 十牛図の手

 ●十牛図の手 
 絵が自由に濁りなく描けている。ふと『十牛図』が浮かんだ。
 サトリの部屋は「猫から猫でない」になった証の空間だ。これが人生最大の難関だった。それだから生涯最高の個展なのだ。サトリ部屋がそのまま十牛図8番目の『人猫倶忘』だと思う。猫だけど。9番目『返本還源』はまぁ自然に還って庭いじり。10番目『入廛垂手』は自由自在、ここに『手』が入っているのが興味深い。庭いじりも粘土も手を使う。箸を持つ手、お茶を淹れる手、草刈る手、抱きしめる手、撫でる手、バイバイする手、文字を書く手、祈る手、涙拭く手、料理する手、創る手、描く手…、自由自在の『自』とは「自分の手」なんだと気付かされた。広くは身体ということ。『十牛図』は「借り物である思考に気づき、行為する自分の手に向かう」教えなのだと思う。





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