●束縛
自由を『解放』、不自由を『束縛』という言葉に置き換えてみる。
「解放を望むのは、今束縛されているからだ」
そこで、今の『束縛』を表現する。
去年の個展で『洗濯 Washing』というインスタレーションを展示した。画廊空間にロープを張り、そのロープに作品をぶら下げる。とても気に入った作品だ。会場ではお客さんにも人気の作品だった。
人はこの作品に何を感じるのだろう? この作品はロープにぶら下がっているだけだが、もしこれが人間なら吊り下げられ拘束、束縛され、心理的にはとても不安定な状態だ。ロープが切れたら落ちて死ぬ、その恐怖がある。と同時にそのロープに命を救われている。この相反する感覚がバランスを取っている状態、人はそういうものに惹かれるのだろうか?
はたと何もかもがぶら下がっている景色が浮かんだ。
飼い猫は僕にぶら下がっているのか、僕が癒されるために猫にぶら下がっているのか、人々は大きなものにぶら下がっている。ぶら下がりをやめて何処かへ行きたいのだろうか、世間を離れ楽になりたいのだろうか、未知なるところへ行きたいのだろうか、あらゆる束縛から解放されたいのだろうか?
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