2020年3月31日火曜日

[7033] 地獄に仏

●地獄に仏
僕は基本引きこもりで家を出ない。でも思考や精神は世界や社会を意識している。しかし今回のコロナで社会などもうどうでもいいぐらいに方向性をもっともっと引きこもりにするつもりだ。つまり世の中や社会の何かを目的にした作品制作ではなく、社会とは無関係な作品制作をしたいと強く思い始めたのだ。ウイルスよりもっともっと微細なところを陣取ってやろう思うのだ。
 弟が剪定した大きな木を持ってやってきた。毎年、南の島に潜りに行く弟は今年はコロナのせいで行くのを断念したそうだ。そんなに潜りが好きなのかと聞いたら、「海の中で死んでもいい」と言う。たぶん忘我(エクスタシー)を得るのだろう。これからはどうするの? 家は退屈じゃないかと聞いたら、「畑にいれば楽しい」と言う。この季節そんなに野菜はないけど色々とやることがあって楽しいらしい。これは幸福感というものだ。弟の畑は僕にとっての庭やアトリエだろう。でも彼の言う死んでもいいと言うような海の中は今のところ僕には無い。
 そこで思った。この際、どうせ籠るのだから、もっと社会から離れた死んでもいいような作品に挑戦しようと思うのだ。幸福感と忘我をミックスした時空だ。フォーエバーナチュラルハイだね。
 僕の考えではそのような作品は、これから30年ぐらい経って90歳過ぎても無理なく難なく苦なくできる制作方法で仕上げた作品だ。なぜならそのぐらいの歳になれば全く社会のあれやこれなどに興味がなくなるだろう、それに制作が難儀なのは嫌だ、で、それを今やるのだ。賑やかな楽しい社会に出られない苛立ちではなく、こちらの方から狭い社会をペリペリ剥いでしまうつもりだ。本来僕が目指したファインアートとはそういうものなのだということを思い出した。

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