[8739] 春一番

 ●春一番
　いい天気だ。風が強い。春一番だね。サンシュユやハナミズキの花芽が膨らんでいる。
　朝食していると必ず見えた青柳さんの雪飛ばしが今季は見られない。青柳さんは除雪機の扱いがとても上手で一体化している。無駄にいつも雪を飛ばして楽しんでいたが老齢だ。今頃の季節、窓からいつも見ていたので、いないのがちょいと寂しい。
　隣のさくらんぼ畑にはほぼ毎日早朝から夕方遅くまで高橋さんが仕事をしている。この間は雪を早く溶かそうと灰を撒き、今日は除雪機で木の周りの雪を飛ばしていた。
　私は彼らのよそ見をしない生き方を尊敬する。だから私は今日も春一番の中で雪掻きをした。庭に出れば何かしら仕事がある。庭は人工的に守られた家と畏敬の大自然の中間に位置する。この庭との一体化は中道で宇宙全てになる。坐禅と同じだ。だから雪掻きは雪だけでなく妄想（よそ見）まで飛ばす。猫と私は庭が好きを超え庭も超え宇宙そのものになる。