2012年5月4日金曜日

[3746] おばあちゃん

おばあちゃんは、今から十数年前、当時50代後半、何の気なしに青梅の住吉神社の石段を上った。そこの神殿では僕の個展が開催されていた。大きな会場なので、猫神様クラスの大作を中心に神仏猫が100体鎮座していた。おばちゃんは感動し、それ以来僕に会うのを楽しみにしていたらしい。今日それが実現し、初めて見た絵に感動、二点を選び、他のお客を顧みず、二時間近く写真のように座ったまま、どっちにしようか悩んでいた。とうとう決まったのはいいが、猫の顔が悲しいそうだから、目を明るい青にして欲しいと言う。
「先生の絵はうまく描いてないのがいい。何でこんな風に描けるの?」と問う。
「下手だから」と答えたら、大喜びしていた。
絵の良さがわかるいいおばあちゃんだったので、ペペペッと絵の具を塗って目を青くしてやった。

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