2014年1月15日水曜日

[4367] 鼻緒

あっ! 下駄の鼻緒が切れた。もしかしてトト様、カカ様の身に何か? 
 下駄好きのワシはうち履きに『ねずこの下駄』を履いている。この下駄は汗を吸うので裸足で履いていてもすっきり爽やか。その鼻緒がいきなり切れた。不吉な予感がした、と知識に基づいて悪いことを考えるが、そんなもんは無垢な魂にとっては無意味で不必要だ。
「娘さん、どうかなされたか?」と若侍。
「鼻緒が」
「大丈夫、肩におつかまりください。直して差し上げましょう」
 侍は鼻緒を針と糸で縫い込んで針金で押さえて直す。
 娘さんは侍に恋をした。
 吉な結果となりました、とさ。

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