2018年6月28日木曜日

[6392] さくらんぼわじん

さくらんぼ
 僕が30歳のこの季節、 NYで絵の展示会をやっていた。そこに父親から国際電話。何事だろう? 何か悪いことでも起こったのだろうか? とこの展覧会の企画者に呼ばれて、今はないツインタワービル内のかなり上の階の事務所に電話を受けに出かけた。父親から電話がきた。出ると「さくらんぼ採りに来い!」だって。「ニューヨークにいるんだぞ、俺は」と言っても、「お前がらなければ、誰がるんだ!」と。「この乱暴者が作った街で、俺は一世一代の勝負を」、ガチャン! いつものように言いたいことを言った父親は電話を切った。ガーーーン。まぁ、そんなオヤジだ。
 さくらんぼは、僕が二十代、作品など売れるわけがない時代、父親が「東京でお前の知り合いにさくらんぼを売って、お前の飯代にせい」とさくらんぼの木を数本僕に預けた。毎年この季節には田舎に帰って、さくらんぼりをして箱詰めして『さくらんぼわじん』として売っていたのだ。
 猫作家になって作品が売れるようになってからも、さくらんぼは喜ばれるので『さくらんぼわじん』は続けた。さくらんぼの箱までデザイン(添付写真)して、ある時はイラストまでつけて楽しんで売っていたが、山形に引っ越してから、父親も年、さくらんぼ畑を縮小したので、やめてしまった。父親が亡くなってその後、さくらんぼ畑は兄が引き継いだ。
「今年も終わったよ」と今日、兄が大きなさくらんぼをいっぱい持ってやってきた。

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