2023年7月31日月曜日

[8247] 読書

 ●読書

 碁点温泉。売店があり僅かな本が売られている。そこに子供が数人、一人は床で、一人は椅子で、あとは立ち読み。今は夏休み。ここにはプールもあるので家族連れが多い。係の人としては売り物を勝手に地べたに置いて読んでもらっては困る。

 これを見て思った。大学の文学部を廃止するってのを聞いたことがある。昨今の大学や社会は効率と採算を重要視し、若者を営利企業の戦士にしたがる。世の中、実用書と自己啓発本ばかり溢れて文学書などいらないわけだ。政治家は文学など読まないし、ノーベル文学賞を受賞した大江健三郎などは政府に盾突くから、そのような考えを育む文学など必要ないと思っているのかもしれない。しかし文学は個々人の成長には不可欠だと思うよ。

 ところで読書する人の方が長生きすると聞いた。外面の快楽や効率だけを求めるのではなく、読書は思考停止を阻止し精神を豊かに柔軟にする。食べ物は身体を作り、文学や詩は頭の栄養になる。

「世が住みにくければ、住みにくい所をどれほどか、寛容て、束の間の命を、束の間でも住みよくせねばならぬ。ここに詩人という天職が出来て、ここに画家という使命が降る。あらゆる芸術の士は人の世を長閑にし、人の心を豊かにするが故に尊とい」:夏目漱石『草枕』より

 ならばここに読書スペースを作ったらどうだろうか? 図書館とは違った各家庭にあるいらない本を集めて本棚に並べ、地べたにマットを敷く。あとは勝手に読めばいい。






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