●住処
七十二候の最後の一候がこの間の2月3日までの『鶏始乳 』だ。意味は「冬の間卵を産まなかった鶏が春の気配を感じ卵を産むようになる」、そして2月4日から新しい一候が始まる。
ふと思った。人も何もかもが鶏と同じで春の気配を感じている。この気配こそ至福感だ。言葉や数字を並べた科学的思考ではこの気配は不思量だ。わからないから不安を持つ。科学や法は完全ではない。
さて人は季節という住処にいる。年齢という住処にいる。ここから外に出ることはない。どこにいたっていつだってこの住処の気配を充分感じている。ならば無理に不安のもとである思考を進めず、今ここに留まり、ゆっくり深呼吸をして己のその思考を眺めてみればいい。何も起きてないし何も起ころうともしていないことがわかる。今を遮るものが何も無い。ただ至福感に包まれる。これで元の住処に戻っている。


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