ピニャモはマッピュからも苛められたりと、我が家で一番弱者だ。しかし三毛のオスという稀な存在ゆえ画集『雨にまけるわけがない』のモデルになった大スターだ。チョコがそんなピニャモに咬みつく。弱い者イジメはイカン。ワシはホウキを持ってチョコをどこまでも追い掛けた。追いつめられたと思ったチョコはシッポを膨らませて、ワシをジッと見上げた。そして喋った。
「旦那、そりゃあ咬んじゃいけないのは解りますよ。ですがね、どうも性(さが)っていうか、本能っていうか、欲っていうやつですかね。咬みたくて咬みたくて身体が疼いて仕方ないんですよ。どうしようもなく咬みたくなって、もはや止められない。いつの間にか咬んじゃっているんですよ。旦那だってあるでしょ? 若い頃、性欲でどうしようもない時、あるでしょ? ほらやはりあるんだ! 顔に書いてありますよ。まさか今も? まあまあ、いいって。そういうものと同じなんすよ」と言いながらタバコをふかし「灰皿は?」。
0 件のコメント:
コメントを投稿