2017年4月23日日曜日

[5961] 優等生と劣等生

僕はここは赤でいこう! と閃き、筆を掴んだ。
ところが性格が無精で筆をちゃんと洗ってなかったので、筆の根本に妙な色が残っていた。
それもかなり古い筆、筆先も切れてボサボサだった。
そのまま知らずに赤色を塗った。
キャンバスに切れた毛がついてボコボコになってしまった。
色も何かが混じりまったく気に入らない色になってしまった。
僕は嫌気で気が抜けて、筆をキャンバスに落としてしまった。
すぐさま拾おうとしたとたん、今度はキャンバスを、絵の方を下に落としてしまった。
僕の中の優等生は歎き失敗と思った。
不貞腐れてキャンバスを拾い裏返し、絵を眺めた。
この絵を見て僕の中の劣等生は楽しんだ。
僕の中の優等生は劣等生の笑顔を見てハッとした。
センスが成長した瞬間だと思った。

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