●普く通じる
人は特別になりたがる。自慢する。実績や学歴を誇る。世間に自分を行き渡らせたいのだろう。気持ちはわかるが外面は内面の裏返しだ。これでは内面の心の貧しさや無知が見え見えだ。
坐禅は何か叶うわけでもないし、偉くなるわけでもない、なんでもない。なんでもないと言うのはああなればいい、こうでなければいけないなどがない。なんでもないけど調和のとれた姿勢だから怒られることはないし、褒められることもないし、虐められることもないし、羨ましがられることもない。とにかくなんでもない。普通なんだ。普通ってのは文字の通り「普く通じる」（あまねくつうじる）だ。もう既に全てに広く行き渡っているのよ。太陽の光のように。
●インド
東京とここ村山市でアーユルベーダをやっているハーギさんがやってきた。なんか額に油を垂らし続ける施術でSSがしてもらっている。私の場合、身体全部が額のようなものだからつるんと滑ってどこまでも行って帰って来れなくなりそうな…
天気のいい昨日、庭でお茶でもと彼女を呼んだ。とんでもなく元気なベラベラ喋る明るい人だった。インドに７回も行っている。私が四十数年前にインドに行った話は旅行記『無我の意図』に書いた。彼女が生まれる前だわ。随分前にヴェーダの『アートマン』や『ブラフマン』をタイトルにした個展もやった。インド映画はすこぶる好きだ。だから話は合う。でも私はインドなどつるんと通り過ぎて坐禅に行き着いた。
彼女は素直に感動を表現する人でたくさんの作品をとても楽しんでみていた。作品に感動しどうやってアイデアが降りてくるのですかと聞かれたが、降りてなどこない。降りてくるような上などないからだ。
●雅叙園
時を旅する福ねこ at 百段階段：ホテル雅叙園東京
～平安、江戸、大正、昭和、そして現代へ～
期間：2025年3月20日(木・祝)～6月15日(日)
※休館日：5月7日(水)（展示替のため）
いつの時代も美しい姿態と謎めいた表情で多くの芸術家のミューズとなってきた猫。そんな猫に魅せられた新旧のアーティストたちの作品が文化財「百段階段」に集結します。日本最古の飼い猫記録が残る平安時代からは「枕草子」や「源氏物語」より猫の登場場面を立体化した作品、江戸時代の猫の浮世絵コレクション、日本初の猫コレクターであり大正・昭和の猫プロダクトデザイナーの河村目呂二の貴重なコレクションによる大正ロマンあふれる猫の世界など、時を超えて人を惹きつけ続ける猫の魅力を7部屋でご堪能ください。
●お話
人は作り話が好きだ。子供のころ、よくお話をねだるようにそのまま大人になる。ヒーローやヒロインの話。偉人の話。お化けの話。スピリチュアルな話。政治経済の話。輪廻転生の話。前世の話。宇宙の話。ラブな話。神の話。明るい話。暗い話。怖い話。笑い話などなど、これらの作り話に酔いしれる。世間は言葉の作り話、なんもならない。退屈で暇なのかもしれない。時はあっという間に過ぎ去る。よそ見しているうちに年取るよ。
作り話を消去。行き着いた先に坐禅があった。でも子供時代からの癖で坐禅中でも頭はひっきりなしに作り話。ちょっとした何かが浮かぶとそこから話を作ってしまう。そして落ち込んだりハイになったりアホらし。そこで癖やめて話を作らない、繋げない、紡がない‥今日の天気のように心はカラッと晴れ渡る。
●思ってない
人は『思い』を中心に置いている。
一人一人皆違い多種多様で面白い。
赤子は『思ってない』が中心にある。
その上に『思い』がくっついて大人になる。
いまだに『思ってない』が基盤だし中心だ。
坐禅でもして『思ってない』を思い出そう。
●個展『仏性猫』
猫は十二支にはいない。
猫はネズミに騙され仏を護る十二神将になれなかった。
それはそれでよしとする。
この世のあらゆる生物は『仏性』を備えている。
猫は猫ならではの新しい仕事を見つけた。
それが『招き猫』だ。
私たちを福である仏の家に招く仕事だ。
***************************************
『仏性』：あらゆるものの本性は仏性であり我欲ではない。
●押してもダメなら引いてみな
押してもダメなら引いてみな。しかしそれがドアでない引き戸なら押しても引いてもダメだ。引き戸を開くためには前後ではなく左右なのだ。ところで鏡は左右が逆と言われるが、実際は前後が逆だ。鏡を床に置いてその上に立ってみればわかる。でもそれは上下が逆と言えなくもない。およそ人の思考は頓珍漢なのだ。さて押すとは例えば道を歩いて前に進む。自分の思い通りに進んだ気がする。しかし風景をみればわかるように景色やみんなは自分の後ろに進んでいる。全体から見たら自分は孤立しているのだ。それは苦しいから思い通りではない。ではみんなと一緒に行動するのか。それではみんな一緒に集団孤立し苦しむ。引くとは単に押さないことだ。そのうち思い通りになっていることにハタと気づく。
●引き寄せられ
たまに耳にする『引き寄せ』とかは自己中心的なものだ。悪いことが起きた人を差別する思考にもとれる。
私は招き猫に引き寄せられ、そこから仏のところに引き寄せられ、坐禅に引き寄せられ、そして今日、庭に引き寄せられ、デッキの雪掻きし、今年初のデッキでのテータイム。極楽に引き寄せられたね。『引き寄せられ』の法則とでも言っておこう。
