2026年8月24日月曜日

[9267] 穴不思議

●穴不思議
覗き穴展(いつの間にか「秘宝展」ではなく「覗き穴展」に変更していた)を終え
『覗き穴』を考察。
盲点の実験がある。黒い面の中心に白い点を置き、片目を閉じてその点を見ながら、もう一方の点を探していく。ある位置にくると、白い点が突然消える。消えたところは、黒い面のまま見えている。
では、「見えない」とは「黒い」ということなのだろうか。
以前、真夜中の山道を歩いたことがある。月も星もなく、明かりがまったくない。前が見えないだけでなく、自分の手さえ見えなかった。その時の「見えない」は、たしかに黒だった。
しかし盲点の実験では、黒い面の白い点は黒くなって消えるが、白い面の黒い点は白くなって消える。赤い面なら赤くなる。
つまり脳は、見えないものを単純に黒くしているわけではない。
見えない部分を、周囲の情報で埋めてしまうのだ。黒いものは黒く、白いものは白く、赤いものは赤く。そこに「ない」はずのものを、周囲と同じように見せてしまう。
「ある」を「ない」にし、「ない」を周囲の情報で埋めて、偽の「ある」にする。
では、この「見えないもの」が点ではなく「穴」だったらどうだろう。
穴もまた、周囲の情報によって埋められてしまう。穴があるのに、ないように見える。ないものを、穴以外の別のものであるように見せてしまう。すると、穴は遠くなる。
穴は見えなくなっただけで多分ある。私たちはその穴から逃げることができる。それは、解脱なのかもしれない。
そもそも「穴」とは、「ない」ことによって存在するものだ。
「穴がない」と言えば、「穴はない」。
「ない」のが穴なのだから、「穴がある」とも言える。
ないのに、ある。あるのに、ない。
穴とは、あな不思議。





 

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