2015年12月9日水曜日

[5460] 人間不在


「長いものには巻かれろ。大河は手では止められぬ。人間の行いは自然の流れの一部だ」と父親は言う。「原発や戦争も自然だ。弱者や敗者は淘汰される。それが自然なのだ。昔は殿様がいて庶民は苦しかった。しかし別の支配者が現れ殿様は滅ぼされる。でもまた苦しくなってテロが出て戦争になって、歴史はこの繰り返しだ」
 どっかおかしいぞこの考え。現実の自分はそのまっただ中にいる筈なのに本人は高みの見物。利口な学者ほど全体をまとめる考えに固執しいつの間にか自分がいなくなる。一人一人がこの論を我が物顔に納得する時、そこにはもはや誰もいなくなる。これは人間不在論だね。
 人はさも正論風の全体を語っているつもりになっている時、自分を見失っている。
 『朝の風景を美しいと感じるワシがここにいる』

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