2020年12月20日日曜日

[7297] 消極性

 ●消極性

朝食をしながら

隣の屋根の雪下ろしを見る。

ダンプとスコップを交互に使い

とてもゆっくり焦らず確実にこなす。

もう何十年もやっているから

コツを知っているのだろう。

雪国の住民にとって

雪掻きは冬の仕事である。

冬のエクササイズである。

雪掻きハイなる精神の解放である。

全ての境界が真白き雪で覆われ

無分別な世界観を諭す瞑想である。

社会は経済を目的とし

分別分断し競争を急き立てる。

積極性とは社会が推奨する

馬の鼻先のニンジンが金だ。

村の発展のために

地元産業云々言うけど

この屋根の上に

生産性は微塵もない。

雪掻きこそ生産性を

超越したところに在る

雪国ならではの奥の深い創造なのだ。

ある極みを見た感じがした。

このおじさんのマラソンランナーのような

雪掻きスタイルを

この消極性を

身に付けようと思う。



0 件のコメント:

コメントを投稿