●漢方
この夏、吐き気がして寿司が食えなくなってから、どうも調子が悪い。こんな時に”完全な『わ』”という歴史に残る大発見をしたので、このための人生だったのか。ワシの運命も尽きるのか!
そこで近所の病院へ。ここには漢方の先生がいる。病院とか基本的に嫌い。行くときはしょうがなく嫌々行くのだが、なぜか今日は楽しみだった。西洋の薬は痛いところがあれば痛め止めとか、悪い箇所は切り取るとか、部分的直しのように思う。いわゆる身体とは煉瓦造りの家のようである。漢方は未病が基本。1時間近い長い問診を通して個人の特徴や性質などを把握してゆく。この嬉しさは自分というものがただの少し壊れた物ではなく、人間であり、事細かに私を探ってくれることだ。私に興味を示してくれているのだ。
白髪の良い感じの先生であった。今回試しに処方してもらった薬が『麻子仁丸』。ネットで調べた。『体力がない「虚証(きょしょう)」の人向きの薬で、体にうるおいが不足して、便が硬くなりがちな高齢者の便秘薬としてよく用いられる』とあった。人から『巨匠』と言われたことがあるが『虚証』だったとは残念。それと『高齢者の便秘薬』、やはり高齢者だったわけだ。とりあえず解って嬉しい。真実を知ることは嬉しいことなのだ。知ってからこそ次の一歩が踏み出せる。若いフリしても他人にはバレバレだし、若いからって良いわけではない、それは妄想だ。
今回は市販の薬だが、もうちょっと入り込むとその人に合った薬を調合する。人が万人いるなら、それぞれに合った万の薬を見つけ出す。万能薬ではないが万の薬なのだ。そこが面白い。生まれて初めて病院が楽しいと思った。そういや病院には年寄りがたくさんいたな…
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