2021年6月3日木曜日

[7462] 西陽

 ●西陽

 これまでは西陽が射してくると眩しいのでブラインドを降ろしていた。そのせいで内と外が断絶され、西陽との交友もなくなり、いつの間にか西陽は嫌いなものとなる。同じように都会に住めば、虫や自然との交友がなくなり、出会う虫といえばゴキブリやハエや蚊だから、虫全てを嫌いになる。

 ところがよしずを置くと、そのよしずに西陽が当たり、よしずからオレンジ色混じりのイエローオーカーの色の波が内外に広がる。その色によって夕暮れ時の淡い懐かしい感覚が呼び起こされる。この感覚は分断前の根源だから懐かしいのだろう。

 西陽との交友を復活させることができて、一日の時の流れがますます滑らかになり、永遠に続く波に乗っているように感じる。必然である最大最難の断絶の生死の界までもが消えてゆくように思える。

 ところで内外の断絶はエアコンが必要になり、除湿機や加湿器や空気清浄機などどんどん機械が増え、内を埋めてゆく事になる。よしずを置けば壁は消え、内と外は繋がり、風が通り陽が射し空間は広くなるのに。

 これは精神内にも言えることだと思う。コロナ禍によって三密などの対策が取られるのは、暗に断絶に対するアンチメッセージでもあるのだろう。苦から逃げ所有する快楽ではなく、内も外もなくなるような工夫を創造することが心地良い事なのだと思う。

 よしずをしてから入ってきた虫はハエではなく可愛いハチで、窓に向かって手を扇いだら静かに外に出ていった。



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