2021年6月28日月曜日

[7487] イゴ

 ●イゴ

 イゴが亡くなった。18歳。

 イゴは東京の谷中で生まれ、生後19日で当時僕が住んでいた神奈川の津久井の家にやってきた。家にはオスメス2匹ずつ猫がいた。まだ歩くのもおぼつかないイゴを、なぜかオスのポチくんが甲斐甲斐しくおしっこやウンコを舐めて育てた。

 数ヶ月後成猫となったイゴは、新しく家にやってきた相模原生まれのアニニョンに惚れてカッコいいとこ見せていたが、アニニョンの方が木は高いところに登れるし駆けっこも速いので自分が鈍であることを知り弱気になってしまった。盛りではオスとしていいとこ見せようと頑張ったが、なにせアニニョンは美猫、世間の野良オスどもに先越されて、今度は内に籠る子になってしまった。かなり落ち込んでいたがアニニョンがとても優しかったので、他の猫がいない隙にアニニョンが誘って念願叶ってイゴ似の子が生まれた。友達に貰われたその子もイゴ似で鈍だったらしく、残念ながら若くしてガンで亡くなってしまった。イゴも身体中にイボができて舐めるのでなかなか治らなかった。遺伝なのだろうか。

 イゴはポチくんに感染させられたのか歯槽膿漏がひどく、全身麻酔で全抜歯でも生き残り、去年も死にそうになったが復活した。いろんな困難を乗り越えまっすぐ我が道をグイグイ押して進む性格だった。他の人には懐かないが僕にはまるで犬のように懐いた。そんなに懐いているのに、その欲求を満たしてあげられなかったことに悔いが残る。

 今回、さくらんぼ取り期間中にひどい発作が起きて、病院で輸液を受けた。その後元気になり今までになくエサをがっついていたので、やはりすごい復活力だと安心していたが、金曜日の夜に見たこともない黒い血反吐を吐いた。それ以降は水とトイレが近いところが落ち着くのだろう水場や草の上でジッとするようになった。このような姿は去年にもありそれでも復活してきたので、また平気な顔してグイグイ押してくるだろうと思っていた。しかしとうとうまだ暗い今朝方に亡くなった。

 イゴの遺体をイゴが一番好きだった僕の膝の上で朝日が登るまで2時間ぐらい抱いていた。パソコンを見ている最中だろうが、本を読んでいる最中だろうが、粘土いじっている最中だろうが、絵を描いている最中だろうがもっと膝の上に置いてあげればよかった。







0 件のコメント:

コメントを投稿