2017年3月5日日曜日

[5912] かぶり

●かぶり
『猫かぶり』の『かぶり』は昆虫の擬態のように本体を隠し厳しい社会を生きやすくする。
 人は何かしらを被って生活をしている。とにかくいろんなものを人は身に付け被る。個人をほとんど消して国を被る、会社を被る、名声を被る、経歴を被る、家族を被る。主義を被る、世間体を被る。
 これらを被ることで安心を得る。しかしその安心はその小さな集団内のものであって、集団のエッジのあの壁の向こう側には行けない。被り物を外さないでいると周囲に完全に同化し、もはや被り物が外せなくなる。自分を見失い、個ではない大衆になってしまう。被っていた何かになって、自分が誰か解らなくなる。そのうち壁の向こう側が不可解な敵になる。
 とりあえず埃と罪は被りたくない。

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