●変身
子供も大人もよく被り物をする。人は変身願望があるのだろう。
子供の頃、TVで手塚治虫の『バンパイヤ』の変身シーンを見て興奮したものだ。変身するまでの変化が実に美しい。なるべく時間をかけて気持ち悪いぐらいリアルな変身が好きだ。セミやトンボの羽化も美しい。見ていると一秒毎に世界が変化してゆくのを感じられる。その後いろんな映画で、その手の変身シーンを見ては興奮した。でも仮面ライダーの変身は一瞬でつまらない。
ところで狼男は人間からオオカミに変身する。変身してしまって、そのままだったら、それはただの獣のオオカミだ。面白くない。またオオカミに変身できるのに、人間のままだったら、ただのつまらない嘘つきだ。やはりオオカミになったり、人間に戻ったり。人間に戻ったとき、一段深い人間になったり、もしくはオオカミからまた別の何かになったりと変身を続けることが面白い。何かに留まったら変身ではなく変死だ。
僕は『猫かぶり』から『オレかぶり』への変身をなるべくリアルに絵日記で言語と絵にしている。絵日記の絵は実験的なイタズラ書きだが、イタズラ書きもどんどん変身変化成長して、人物主体から周りも含め平面全体に意識が広がり始めている。これは空気に変身しようとしているのか? それとも実体のない鏡? それとも透明人間?
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