猫祭りの最終日。
目眩がするほど多くのお客さんが個展会場に訪れた。20年も続いているので昔からのお客さんや新規のお客さん、新旧やって来る。
驚いたのは、お客さんが古いウチワを持ってやって来たことだ。
今から13年前の2002年、山の上にできた新しい茶室で個展を開いた時、サインなどするようなタイプでないワシが冗談半分でサインした一枚のウチワの噂が広がって、たくさんのウチワにサインをすることになった。山の下にある和紙でできたウチワを売っていた店のウチワは完売してしまった。お店の主人は何でこんなにウチワが売れるのか不思議がった。
今日、そのウチワを持って半身が麻痺した女性のお客さんが杖をついてやって来た。
「ウチワの裏に今年のサインをしてください」
動かない手でぎこちなくカバンから黄ばんだウチワを取り出しながら言った。懐かしいずいぶん古くなった和紙で作られたウチワだ。月日を見ると今日と同じだ。
動かない手でぎこちなくカバンから黄ばんだウチワを取り出しながら言った。懐かしいずいぶん古くなった和紙で作られたウチワだ。月日を見ると今日と同じだ。
「台風が来ると半身が痛いの」
聞けば彼女は今年末に手術をするらしい。
聞けば彼女は今年末に手術をするらしい。
手術が成功して欲しいと願う。
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