●フタ
「作品の底のフタがないので、がっかり」のコメントをいただいたので僕の考え。
昔の作品はわざとフタをつけてません。
よく批判で「作りすぎ」「作らない美しさ」とか言いますよね。
その『作らない』ということに興味があります。
人形は表情と形が決まれば完成で、それ以上手を加えると『作っている』が入ってしまう。
そこでフタは作らなかったのです。
ところが昨今はお客さんの望みがメインで、作家はお客さんを喜ばす商品づくりになってしまっています。
先生と呼ばれる作家も地に落ちたわけです。
それは川の流れと同じで高いものは低いところに流れるわけですから、偉そうな作家たちも当然低いところに向かってゆきます。
無理に地位や立場を守ろうとすると大衆に引き摺り下ろされることにもなり兼ねません。
水は低いところに向かって流れ、海に向かいどんどん広がります。
しかし再び水蒸気になって高いところに行きます。
その後雲になってあらゆるところに雨を降らします。
東西南北上下ぐるぐる回るわけですね。
『変化してぐるぐる回る』、ここ大事です。
真理といっても過言ではありません。
ところで高いところにいて落ちそうになると人はあたふたします。
『あたふた』するわけです。
そう、僕もあたフタ。
それで最近は僕も作品の底にあーた、フタをしているんです。