●絵を描く
知人が絵を描き始めた。絵を描くのはとてもいいことだ。なぜなら過去が余所事のように吹っ切れるからだ。トラウマとかあるんだったら尚のこと絵を描くべきだ。描き初めは自分の知識で描いたり上手い下手が気になったり世間的な価値に惑わされるが、それらに捉われないで余計な観念など捨てて進めば、そのうち私が絵を描くのではなく、絵が勝手に私を未知なるところへと運んで行く。こうなると頭で描いていた未来像や頭にこびりついた過去像が全て幻だとわかり消え失せ、真新しい本来の私の道を歩き始める。色や形のその複雑な混じり合いマチエールからの感覚が思考では届かない偉大な智慧であることを知る。
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