また実家に出かける。今度はもらった蘭の花が枯れるので、その前で家族写真を撮りたいらしい。ところが引き蘢りのワシなどは余程でない限りアトリエから出ない。そこで88才の父親が考えた策が『米寿の祝い』だ。あざとい奴だ。こりゃあまだまだ長生きするな。
森財閥創始者の財産分与で集まった兄弟とその悪妻達。親兄弟嫁達甥っ子姪っ子、全部で12人。
「あのビルがお兄さんなら、あの軽井沢の別邸はあたしよね、お父様」
「オホホホ、何を仰っるの、お父様のお見舞いにも来なかったくせに」
「仙台のレストランはどうするの?」
そこへインターホーン、「パパ~、あたしよ~」とケバケバの洟垂らした若い娘が玄関に立っていた。池には見知らぬ女性の死体が浮かんでいた。空にヘリの轟音が、サイレンが‥‥
ところで妙に懐かしい気分を味わった。こういう気分が家族を繋げているんだろうね。
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