●価値
20代の若者が「薪を40本ください」と言ってきた。寒さを凌ぐためのものではない。
薪は金に換えれば高が知れてる価格だ。しかしお金より価値がある。60過ぎの夫婦が汗と泥に塗れていろんなお百姓さんの畑から伐採した果樹を運び、腰痛や腕の痛みや怪我などの危険を伴いながら薪割りをする。それを薪棚に積んで一年以上乾燥させる。自分で一年掛けて設計し有り金全部叩いて建てた家、その居間に設置した薪ストーブに、極寒の山形の冬を乗り切るために、その薪を焚べて暖を取る。湯が沸きコーヒーを淹れる。コーヒーを一口飲む。自分に対する労いとほっとした至極の安らぎを得る。
君ね、薪一本にも微細な物語があるのよ。まぁそれだけでなく、もっと深い僕本人にしかわからない無我の意図だってある。だからこんな大事な薪をあげるわけがない。
若者も大人も、お金より価値ある大事なものを持ちなさいな。この言葉を君にあげるよ。
0 件のコメント:
コメントを投稿