2023年1月3日火曜日

[8040] ホトケ

 ●ホトケ

 雪掻きしている年寄りは「ここは地獄だ」と言う。でも雪掻きしていると汗をかき、頬に吹雪が当たったり、川の音が聞こえたり、鳥が飛んだりする。その時ハイになる。そのまま手を休め、しばし川を見る。この静寂、この心地良さ、無我ですね。これは多分ホトケに包まれているのだろう。つまり『地獄にホトケ』を感じている。雪掻きしたあとの温泉もホットでホッと地獄にホトケだ。

 ふと思ったのが「ホトケは地獄でこそ会えるんだ」ということ。こんなに間近にホトケに会えるなんて、ある意味、ここは極楽だ。都会だろうと田舎だろうと誰も彼も人は極楽を求めて彷徨っている。こここそ極楽なのに、人は極楽を知らないから、これをまるで反対の地獄と言うのだろう。天才とバカが紙一重のようなものだ。

 あー、だからか、最上三十三観音に庄内三十三観音と山形に観音寺が多い。昔の人はホトケを実際に見ていたんだ。何もかも己の心次第だ。

 実はこの地の年寄りは謙虚で寡黙で本当のことは言わない。飯は美味いし酒も美味い、内心極楽極楽と微笑んでいるのかもしれない。








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