2017年2月2日木曜日

[5881] サナギ現象

●サナギ現象
 外を作り中央に壁を作って内に籠る。まるで鎖国だ。そのためには外を嫌う必要があり、ものには良い点と悪い点があるにも拘らず、悪い点だけを殊更に取り上げ攻撃、どんどん内こそ最高という幻想を抱かせ、団結し群れ、ヒエラルキーが生まれ、情報操作し洗脳されたかもしれない民主主義の名の下、頂点には下々の僻や恨みなどの哀れな感情を浄化することすら解らない頑固で感情的で根拠のない「分った任しておけ」的『分る力』を持った親分的存在の者が君臨させられる。外は分けてしまった故に解らないので『分る力』を持った親分の心の不安や策略から出る舌先三寸、それは宇宙人は分らない恐いもののような想像、で戦争は起こせる。この構造は個人の思考の場合も同様で思考そのものが『分る力』でできているからだ。個人の場合は誰かの悪口を言ったりどこかの国の悪口を言って、同様の考えの仲間と群れる、がその『分る力』だ。『分る力』は『解る力』ではない。
 今の『分る力』の社会を良い意味で虫に喩えるならサナギの段階のような状態と思いたい。僕自身もこの社会に参加してないわけでないから、煩わしく群れたがる『分る力』を避けようとしても侭ならず、そこで世間から離れ一人引き籠り絵描きをしてみた。これもある種のサナギ現象だ。
 『分る力』は物事をどんどん分析分断し、細胞分裂のように分けてゆく。分けられた細胞は一つ一つが離れてゆくわけではなく、未知の『解る力』によって知らぬうちに引き寄せられ、お互い異分子のまま助け合い愛し合い繋ぎ合っている。『解る力』はサナギの内部の『分る力』を和らげ解かし、もはや己の存在まで解かし消してしまいそうにみえるが、なぜか新たな生命体を再構成する。そしてそのうち周りの壁を壊し、内から出て空に飛び立つ。

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